症例紹介

症例紹介:子宮水腫

横浜市旭区善部町のあらた動物病院の院長の 小林 新 です。
避妊・去勢の話をしたのでそれに関連した症例を紹介したいと思います。

症例は11歳のアメリカンショートヘアーの女の子。とても甘えん坊で人懐っこい可愛い子でした。
最近、お腹が膨れてきたとの主訴で来院されました。元気や食欲などはいつも通りとのことでした。
ただ、11歳という年齢のせいなのか寝ていることが増えた気がするとおしゃっていました。

お腹の写真はこんな感じです。最初に見た印象はパンパンだなという印象でした。

どこが腫れているのか調べるために画像検査を実施しました。

仰向け
横向き

赤く示しているのが子宮です。正常な子宮はレントゲンでは確認できません。
この子はお腹の大部分を子宮が占めており、パンパンに腫れていました。
子宮水腫子宮蓄膿症を疑いました。
どちらであってもここまで子宮が大きければ子宮破裂に発展する可能性もあると考え、オーナー様と相談し手術を実施しました。

子宮はこんなに巨大でした。術者の手と比較してもなかなかの大きさです。

摘出した子宮の重量は1kgあり、手で持っていもかなりずっしり重みがありました。

術前に3.7㎏あった体重が術後は2.7㎏になっていました。

私自身もここまで体の大きさに対して子宮が大きい症例を経験したのは初めてです。
子宮水腫は通常無症状で発見されることが多いですが、この子のように子宮に1L近い水分が溜まっている場合は、何らかの動きにくさやだるさ、食欲の低下などがあったのではないかと思われます。

術後、少し調子を崩しましたが、無事退院し、先日抜糸も終えました。
今では昔より元気になり、もりもりご飯を食べるようになっているとのことでした。

オーナー様はこんなことになるぐらいならもう少し早めに手術をしておけば良かったとおっしゃっていました。
希望がありましたので、同居の未避妊の子も避妊手術を受ける予定です。

避妊手術は絶対にしなければいけない手術ではありません。
しかし、子宮の病気は避妊手術で予防することが可能です。
すべての未避妊のわんちゃんや猫ちゃんが子宮の病気になるわけではありませんが、なってしまう子がいるのも事実です。
本症例が避妊手術をされるか迷われている際の参考になればと思います。

あらた動物病院 院長 小林 新

関連記事