症例紹介

症例紹介:ミミヒゼンダニ感染症

こんにちは。横浜市旭区善部町 あらた動物病院、獣医師の小林紗織です。
年末年始はいかがお過ごしでしたか?我が家は午前は診療でしたが、午後は休診にさせていただいたので親戚に会ったり、ゆっくり過ごすことができました。

実家にいる愛しのゼロです。たくさん吸ってきました。


突然ですが、皆さんは耳だけに寄生するダニがいるのをご存じですか?
その名も「ミミヒゼンダニ」です。わかりやすいですね。
今回はそんなミミヒゼンダニが寄生してしまった症例をご紹介します。

症例は生後4ヵ月、サイベリアンの男の子です。保護施設から迎え入れた子で、その保護施設の中にミミヒゼンダニに感染した子がいたとのことでした。
耳の中を確認すると、多量の黒色耳垢で汚れていました。初診時の耳垢検査ではミミヒゼンダニは検出されませんでしたが、ミミヒゼンダニの感染を疑い駆虫薬Aの塗布を行いました。

多量の黒色耳垢

3週間後、やはり耳をかゆがるとのことで来院。この時の耳垢検査ではミミヒゼンダニが検出されました。前回の駆虫薬に効果が得られなかった可能性を考え、別の駆虫薬Bを塗布しました。

約1か月後の再診時も耳の汚れがひどく、かゆみは継続していました。また耳垢検査ではミミヒゼンダニの数も増えており、今までの駆虫薬への耐性を疑い、駆虫薬Cを塗布しました。

この一視野だけでも8匹確認できます。

その後の再診ではかゆみはなくなり、耳の汚れも少なくなったとのことでした。
今までの経験ですと、駆虫薬を塗布するとかなりの確率で症状緩和、駆虫できていましたので、今回の症例は完治まで苦慮しました。経験はありませんでしたが、今回の症例のミミヒゼンダニは駆虫薬に対し耐性を持っていた可能性が考えられます。

ミミヒゼンダニは感染動物との接触でうつります。
人にはうつらず、犬、猫、フェレットなどの外耳道に寄生し、組織液を吸ったり、表皮を食べて生活します。また、皮膚組織には侵入せず、永久寄生性で一生涯を宿主の体表で過ごします。
卵から1~3日ほどで孵化し、一世代は18~28日です。


ミミヒゼンダニは感染しやすいので片耳だけの感染は少なく、両耳に感染していることが多いです。そして、同じ生活圏内に感染している子がいた場合、高確率でうつります。
症状の特徴としては黒色~茶褐色の多量耳垢、ひどい痒みを伴います。かゆすぎて頭をふったり、重症例ですとゆっくり眠れないこともあります。

わんちゃん、ねこちゃんを新しくおうちに迎え入れた際は、お耳のチェックもしていただけると安心ですね。

関連記事